宗教団体と会社ってどう違うの?
「宗教団体」と「会社」の違いとは
かつて「地下鉄サリン事件」などの大事件を引き起こし、世間を震撼させた「オウム真理教」、このような団体を「宗教団体」といいます。法律的には「宗教法人」という呼ばれ方をされ、私達のより身近にある「会社」とは異なります。それでは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。宗教団体、すなわち宗教法人を始めとする「法人」は、人と同じ権利能力を与えられた団体のことを指し、利益を得ることを目的としていないのが大きな特徴です。すなわち、宗教団体は宗教の教義を多くの人に広めるとともに、宗教の儀式行事を行い、その宗教の信者を育成することによって、世の中の発展に寄与することを目的としています。一方で、会社はあらかじめ出資をしてくれる人を募り、事業運営を行うことで利益を出し、その利益を出資者に対して分配することを目的とした団体のことを指します。つまり、両者の違いは「利益を得ることを目的としているか否か」の違いであると言えます。そのため、宗教団体は会社とは異なり、法人税や消費税、登録免許税などの税金が非課税となっています。特に、消費税に関しては戒名料やお布施、おみくじ、お札、お守りなどといったものに絡んできますが、宗教団体であればすべて非課税です。
宗教団体は会社に比べて税金面で優遇されている
このように、宗教団体は「利益」を目的としていないがゆえに、税金面で非常に優遇されています。このような団体を「非営利団体」といい、非営利団体が行う活動を「非営利事業」といいます。それでは、宗教団体が事業を運営していく上で必要なものを取り上げ、それに対して優遇される税金についてご説明します。まず、宗教には不動産が欠かせません。特に、新興宗教に関しては活動の拠点となる建物が必須であり、日本の各地域にそれぞれの宗教の拠点が存在します。実は、宗教団体では不動産が宗教活動を行う上で必要であると判断されれば、通常であれば課税される「不動産取得税」や「固定資産税」などの税金がかからないのです。その上、団体の規模が年間収入8000万円位家の場合は、事務負担が大きいと判断されるため「収支計算書」の提出の義務も無くなります。このように、宗教団体は税金面で大変優遇されているのです。ただし、これはあくまで「宗教活動」に限った話であり、次の場合においては課税の対象となる可能性があります。例えば、団体で所有している土地を駐車場にして個人に貸し出す場合、「利益」を得ることを目的とした活動と判断されれば、たとえ宗教団体であっても課税対象となるため注意が必要です。
活動していない「宗教団体」を利用した不正行為
ここまでで説明した通り、宗教団体は税金面で非常に恵まれているのが特徴です。これは、団体の目的があくまで利益の獲得を目的としておらず、そのような団体に税金を課すのは不適切であると判断されるためです。しかし、この優遇措置を悪用して課税を逃れようとする人がいるのも現状です。実は、日本全国で宗教法人として登録されている団体は18万件以上ありますが、そのうち活動していない団体は16,000件以上にものぼります。このような団体を「休眠宗教法人」といいます。このような団体が増えている背景には「後継者不足」が挙げられますが、このような休眠法人を売買することで課税を不正に逃れる人がいるのです。言い方を変えれば、合法的な「脱税」あるいは「節税」のために休眠宗教法人が使われているのです。具体的には、莫大な財産を持った人があらかじめ休眠宗教法人を買い取って自分のものにしておき、休眠宗教法人にそれを寄付してしまうことで、相続税や贈与税を「合法的に」逃れることが出来るのです。最近では宗教を悪用した「霊感商法」に代表される悪質商法が増加しているため、宗教法人にも活動内容を報告させるようになりました。しかし、前述のような税金面ではまだ手付かずの状態であるのが現実です。
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